生理痛のメカニズム

生理痛（月経困難症）は、月経期間中に経験する下腹部の痛みや不快感を指します。

 

この痛みは、一般的に子宮が収縮することで引き起こされますが、その背後には複雑な生理学的プロセスが関与しています。

 

以下では、生理痛のメカニズムについて詳しく説明します。

1. 子宮内膜とホルモンの関係

生理周期の中で、子宮内膜は妊娠の可能性に備えて厚くなります。

 

受精が起こらなかった場合、体はこの内膜を剥がし、月経として体外に排出します。

 

この過程で、ホルモンの影響が大きく関わっています。

 

具体的には、プロスタグランジンと呼ばれる化学物質が子宮内膜で生成され、子宮の筋肉を収縮させて内膜を押し出す役割を果たします。

 

2. プロスタグランジンの役割

プロスタグランジンは、子宮筋層を強く収縮させる働きを持ちますが、その量が多いと過剰な収縮が起こり、これが痛みを引き起こします。

 

痛みが軽度の場合は不快感で済みますが、プロスタグランジンのレベルが高いと、激しい痙攣や痛みが生じます。

 

また、プロスタグランジンは血管を収縮させる作用も持ち、子宮への血流が減少することで、酸素不足が起こり、痛みがさらに強くなることがあります。

 

3. 子宮の収縮と血流

子宮の収縮そのものは自然な反応ですが、プロスタグランジンの過剰分泌や他の要因により、強く持続的な収縮が起こると、周辺組織にかかる圧力が増加します。

 

これにより、血管が圧迫されて血流が減少し、組織が酸欠状態に陥ります。

 

酸素不足は痛みを感じさせる神経を刺激し、痛みを強める要因となります。このメカニズムが、典型的な生理痛の原因です。

 

4. 原発性と続発性月経困難症

生理痛には「原発性」と「続発性」があります。

 

• 原発性月経困難症は、特定の病気や異常がなく、月経自体によって引き起こされる痛みを指します。このタイプの痛みは、主にプロスタグランジンの過剰分泌が原因です。

 

• 続発性月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫など、何らかの疾患によって引き起こされる痛みです。これらの病状は、子宮の構造や機能に異常をもたらし、痛みをさらに悪化させます。

 

5. 自律神経とホルモンの関与

生理痛には、自律神経系やホルモンバランスも深く関わっています。

 

ストレスや不規則な生活、睡眠不足などは、自律神経を乱し、ホルモンバランスを崩すことで、生理痛を悪化させる要因になります。

 

特にエストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れると、プロスタグランジンの産生が増加し、結果的に痛みが強まります。

 

6. その他の影響要因

他にも、生理痛には以下のような要因が影響を与えるとされています。

• 血行不良：冷えや運動不足により骨盤内の血流が悪くなると、子宮周辺の組織が硬くなり、収縮時に痛みが強くなる可能性があります。

 

• 心理的要因：ストレスや不安は、痛みの感受性を高め、実際の痛み以上に強く感じさせることがあります。

 

• 食生活：高脂肪や高糖質の食事は、体内で炎症を引き起こしやすくなり、プロスタグランジンの過剰分泌を助長します。

 

 

 

鍼灸治療の具体的なアプローチ

生理痛に対する鍼灸治療は、個々の症状や体質に応じてカスタマイズされます。

 

一般的に使用される経穴としては、合谷（ごうこく）、三陰交（さんいんこう）、中極（ちゅうきょく）、関元（かんげん）などがあります。

 

これらの経穴は、痛みの軽減、血行促進、ホルモン調整を目的として選ばれます。

 

また、お灸を併用することで、体を温め、冷え性が原因とされる生理痛の改善を図ることもあります。

 

鍼とお灸の組み合わせにより、痛みだけでなく、月経に伴う他の症状（イライラ、むくみ、疲労感など）も緩和されるとされています。

 

 

まとめ

鍼灸は、自然なアプローチで生理痛の緩和を目指す治療法として注目されています。

 

痛みを抑えるだけでなく、体全体のバランスを整え、健康を促進する点が魅力です。

 

近年の研究でもその効果が示されつつあり、副作用が少ないことからも、薬に頼りたくない人にとって有力な選択肢となり得ます。

 

杉並区の荻窪駅から徒歩3分にある荻窪きりん堂鍼灸接骨院では、生理痛を改善する鍼灸施術を行っています。

 

生理痛でお困りの方はお気軽にご相談ください。